2015年のTVアニメ第1期放送開始から10周年を迎えた『響け!ユーフォニアム』シリーズの集大成となるスペシャルイベントが2025年3月15日と16日の2日間にわたってパシフィコ横浜・国立大ホールで開催されました。『響け!ユーフォニアム』は10年にわたるシリーズを通して主人公・黄前久美子の高校入学から3年生までの物語と卒業後の姿を描ききっています。そこで、このイベントは15日の公演を<久美子1年生編の部>、16日の昼公演を<久美子2年生編の部>、同日夜公演を<久美子3年生編の部>と題して開催されました。
まずは、初々しかった1年生の久美子たちの物語を中心に贈る<久美子1年生編の部>公演のイベントレポートをお届けします。
会場のBGMと共に観客の声が大きくなると、TRUEさんとチューバくんが登場!公演の開演を告げるように「DREAM SOLISTER」の歌唱からスタート。観客たちは音楽にあわせて身体でリズムを刻み、サイリウムを振り、会場のボルテージが上がっていきます。
TRUEさんの歌唱後は、黄前久美子役・黒沢ともよさん、加藤葉月役・朝井彩加さん、川島緑輝役・豊田萌絵さん、高坂麗奈役・安済知佳さん、塚本秀一役・石谷春貴さん、田中あすか役・寿美菜子さん、小笠原晴香役・早見沙織さん、中世古香織役・茅原実里さん、中川夏紀役・藤村鼓乃美さん、吉川優子役・山岡ゆりさんが登壇。キャストも演じたキャラクターに合わせたアイテムを身につけていました。寿さんは赤い眼鏡、藤村さんはポニーテール姿。山岡さんは藤村さんにプレゼントして貰ったという大きな黄色いリボンを付けており、キャストからも作品への深い愛情が伝わってきたのではないでしょうか。
そして、最初のコーナーである「選抜メンバーで振り返る 久美子1年生編!」がスタート! このコーナーは<1年生編>にあたるTVアニメ第1期『響け!ユーフォニアム』、第2期『響け!ユーフォニアム2』のエピソードをキャスト陣が何組かに分かれて振り返るというもので、作中にちなんでトークメンバーが選抜されます。
最初のメンバーとして選抜されたのは、黒沢さん、朝井さん、豊田さん、安済さん、石谷さん。このメンバーのトークでは10年前を振り返り、TVアニメ第1期1話のアフレコ収録前日に北宇治カルテットで集まり、決起集会という名の食事会をした思い出を明かしました。当時はキャラクターたちと年齢が近かったこともあり、黒沢さんは麗奈に対して、難しい子という印象を持っていたそうです。しかし、「10年の時を経ると、先生目線で見られるようになり、今は可愛くてしょうがない」と語りました。秀一と葉月の関係に話が移ると、石谷さんが「2年生ではほとんど葉月と会話を交わしていないと思う。3年生になってようやく葉月と自然に話せるようになった」と振り返り、「北宇治高校吹奏楽として同じ志を持つ中で心境の変化もあるのかな」とコメントしました。
次のメンバーとして選抜されたのは、朝井さん、安済さん、藤村さん、山岡さん。スクリーンに映ったカットはシリアスで重いシーンでしたが、安済さんをきっかけに、スクリーンに映し出された優子のリボンと山岡さんのリボンが一緒すぎる、と一笑い。「楽屋でもイジってきて失礼すぎる!」と山岡さんも笑いながらツッコみ、会場は大きな笑いに包まれました。TVアニメ第1期で麗奈と香織の再オーディションのシーンでは当時は優子の気持ちを理解できない部分もあったがTVアニメ第3期『響け!ユーフォニアム3』を経ると、優子の気持ちや見え方も変わってくる、と感慨深そうに語り合いました。
最後の選抜メンバーの豊田さん、寿さん、早見さん、茅原さんのトークでは、それぞれが演じたキャラクターについての話になりました。早見さんは晴香について、泣き顔が印象的なように1年生に対しても情緒が不安定なところもあったが、成長を感じるシーンもあり一生懸命な子だったと語りました。寿さんはあすかについて、TVアニメ第3期『響け!ユーフォニアム3』であすかと香織がルームシェアをしていたシーンについて、香織がお世話してくれることを分かってルームシェアしているのではないかと語り、あすかの“怖さ”のようなものも感じるとコメント。香織役の茅原さんは『響け!ユーフォニアム』の再オーディションのシーンについて、台本を受け取ってからナーバスな感情で過ごしていた思い出があり、香織として納得しようとした部分や優子に勇気付けられるシーンも印象深かったと語りました。
ここで、最後の選抜メンバーでMCを務めていた豊田さんが「当時のシーンを見たくなりません?」と観客に呼びかけます。イベントの後半はキャストの生アフレコとプログレッシブ!ウインド・オーケストラの生演奏! TVアニメ第1期の久美子、葉月、緑輝の出会いからとTVアニメ第2期『響け!ユーフォニアム2』あすかの卒業までの名場面を再現する、キャストと演奏の共演が始まりました。作品の名場面はもちろんのこと、演奏シーンでは「愛を見つけた場所」「宝島」「三日月の舞」を生演奏、とても贅沢な空間に会場は包まれました。客席からは鼻をすする音も聞こえ、感動を抑えられない情熱的な空間になりました。クライマックスはTRUEさんが再び登場し、「サウンドスケープ」を熱唱。キャスト陣が揃って挨拶をすると観客からは割れんばかりの拍手が巻き起こりました。
公演のエンディングでは、3年生組の寿さん、早見さん、茅原さんは「胸がいっぱいで言葉にできないくらい色々なことがあり、1年生編ということでここから全ては始まったんだな」と振り返りました。豊田さんと朝井さんは舞台裏で「神イベだね」と盛り上がっていたとのこと。黒沢さんは生アフレコをしながら当時の自分を振り返ると「ガムシャラだったが、先輩たちは優しく受け入れてくれた。今になったからこそ改めて実感することができた。あの頃の自分やこの作品から受け取ったギフトを感じながら今日は演じさせていただいた」と語りました。
また、エンディングでは誕生日を迎えられた豊田さんにバースデーケーキを贈るサプライズも行われました。実はイベントの冒頭に黒沢さんが知らずにサプライズをフライングしてしまうという一幕もあったが、フライングのことは忘れたふりをして、改めてキャストと観客でお祝いし、会場も暖かな空気に包まれました。誕生日というメモリアルな瞬間もあり、『響け!ユーフォニアム』10周年という時の流れと重みを感じることができたようです。
最後は全員でステージ上にチューバくんを呼びこみ、<久美子1年生編の部>として“部長”の小笠原晴香役・早見さんの「北宇治ファイトー!」「オー!」のコールアンドレスポンスで一体となりイベントは大盛況の中で幕を下ろしました。
久美子2年生編の部に続く。